2019年07月18日

J-flamencoとは‥‥!?

 何度となく使っている"J-flamenco"という言葉だが、どんな定義?なのか教えて欲しい!!‥‥というメールを沢山いただいている。
放っておこうとも思ったのだが、しつこく毎日のように来るので、簡単に書いてみようと思うに至った次第です。
でも、私たちが住んでいるのは日本なので、J-flamencoの方が分かりやすいし取っ付き易いのは当然と言えば当然でしょう。
ヘタに本場に忠実?なフラメンコをしては、受けないことが多々あるとは思っています。
以下、読んでからの感想、そして結論は各自の判断に委ねるしかないのだろう、と思っています。

ちょっと話がズレるかもしれないが‥‥
昔のハリウッド映画に出てくる日本人、チョコチョコ歩いて、何かあればやたらとお辞儀する、そしてちょっと間抜けな感じがしなくもない‥‥そんな風に描かれていたことが多い気がする。

実は、日本人の生徒さんをたくさん教えていた、スペインでも評判の先生や某振付師たちが言ったことなのだが‥‥"お前さんたち日本人の踊りは、アメリカ映画に出てくる日本人みたいな感じがする‥‥"とのことだった。
この例え話の意味するところ、分かるかな〜!? 分かんねーだろうな〜!? (またしても昭和のギャグでした(^^ゞ)

そこで、スペイン人と日本人の生徒さんたちの違いについて、しつこくしつこく尋ねてみた。どこが、何が違うのか‥‥!?
曰く"ひと口では説明できないが、強いて言えば、リズムを点としてしか理解していない、滑らかに動けない、ひとつひとつの振りがブツブツ切れてしまう、いつも動き始めのところが強すぎる、そして維持・持続感が乏しい‥‥"とのことだった。
しかし、これらは踊りに関してのことだけではなく、ギターに関しても同様な指摘を、私自身アチコチで受けた。
たぶん、これらを修正できない部分がJ-flamencoに直結しているところなのだろうと思う。
結果、本場とは違った"臭い・香り"がするフラメンコ、つまりJ-flamencoになってしまうのだろう、と思う。
ということで、悪い意味でのJ-flamencoの特徴を箇条書きにしてみようと思う。

1.リズム・コンパスを拍数とアクセントの位置だけで解釈している
 結果‥‥振りと言うよりも単なるバラバラな動きの連続になってしまう。踊りになっていない。

2.アクセントを"強く"という感じ方でしか理解していない。
 結果‥‥コンパスの抑揚と振りの関連性が無い。

3.ポリリズムの理解が無い
 結果‥‥リズムが一本調子の動きになってしまう。

4.いつもエネルギーが床の方に向かっている
 結果‥‥反作用が理解できないので、ドタドタ足音優先の動きになってしまう。子供の"地踏鞴を踏む?"みたい、だと‥‥。

5.リズム・コンパスのエネルギーと心・身体の重心の移動との関連性が理解できていない。
 結果‥‥主に、マルカールするときの移動のタイミングが‥‥なんかヘン!?‥‥という感じになってしまう。

6.一時停止と終止の違いが理解できていない。
 結果‥‥ブツ切れの動きの連続になってしまい、シメ・キメ感が無くなってしまう。


どうだろうか‥‥!?
これらは日本人にレッスンをしたことのある先生や振付師たちから聞いたコメントの中で、最も多かった共通点なのです。
細かく書いたら‥‥キリが無い‥‥。

カンテに関しては、付け足すとしたら‥‥"母音とリズム・コンパスの関係が無い、或は少な過ぎる、そして息の使い方がヘン"‥‥ということだった。

どうだろうか‥‥!?
思い当たるところがあっただろうか‥‥!?

そういえば昔、某コンサートでのことなのだが、スペイン人アーティストたちと一緒の仕事で、踊りと唄が噛み合わなかった時、"アイツのカンテはおかしいよ"‥‥なんてホザイテいた某日本人の唄い手がいましたね〜。驚きました。
自分が間違っているという自覚を持てなかったようです。こんな日本人アーティストがノサバッテいる今日この頃、哀しくなってしまいます。

何度も言うが、私たち日本人にとっては異文化のフラメンコ、理解して実践することは簡単ではないのは当然のことだと思っている。結局、謙虚さが必要なのだろう、と思うに至った次第です。
どんなものでしょうか‥‥!?

2019年07月10日

お世話になった斎京ご夫妻

 スペインから帰って来てからしばらく経ったころ、どういうきっかけか忘れてしまったのだが、東京の中目黒でスタジオを開かれていた斎京ご夫妻に誘われて、不定期ながらギターを弾かせていただくことになった。
芸名?をペペ斎京&ペピータ中川というご夫妻です。
ちなみに、斎京さんのお弟子さんには、名だたる生徒さんがたくさんいらっしゃるとのことで、フラメンコ協会の現理事長の小島さんもそのうちのお一人、だそうです。

このご夫妻、どのくらいスペインに行っていたか等詳細は伺っていなかったのだが、ギターを弾いた時に"おっ、J-Flamencoじゃないっ!!"と、正直驚いたことを覚えている。
私がスペインに居た時のように弾いても、全く違和感を感じずに踊っていた‥‥。
いつもだったら"飯ヶ谷さん、ちょっとソコのところ、リズムがハッキリしないんだけど‥‥!?"というクレーム?が来るのだが、お二人は気持ち良さそうに踊っていた‥‥(^◇^)
おかげで、私もとても気持ち良く弾かせていただけたので、以後、不定期ながら練習のお相手をさせていただくようになった次第です。

そんな日々を過ごしていたある日、斎京さんが"飯ヶ谷君、こんどXX日のYY時くらいにアントニオが遊びに来るんだけど、良かったら来る!?"とお誘いを頂いた。しかし、アントニオなんて名前は腐るほどあるので、ま、たまにはスペイン語の練習にもなるかな!?という程度の感想しか持たなかった。"はいっ、お邪魔します(^^ゞ"とだけ返事をしておいた。

後日、指定された日の指定された時間に斎京宅に伺ったところ、凄い御馳走が食卓の上に並んでいた。
"斎京さん、凄い御馳走が並んでいますね〜!!"と言ったところ、"せっかくアントニオが来てくれるんだから、このくらいは準備しておかないと‥‥"というお言葉だった。

しばらくして玄関の"ピンポーン"という来客を知らせる音が鳴った。
すぐさま斎京ご夫妻が迎えに出て、何やら親しげに語らうスペイン語の会話が聞こえてきた。直後、居間に現れたアントニオとやらの顔を見たとたん、私の心臓が飛び出しそうになったほどの衝撃を受けた。
なんと、アントニオと言っても、あの素晴らしい舞踊家のアントニオ・ガデス、その人だったから‥‥(@_@)
ちなみに、今は2代目が居るが、初代のアントニオ・ガデスさんです。

すぐさま私を紹介してくれたのだが、アントニオ氏が"う〜ん、君の顔、どこかで見たような気がするんだが‥‥!?"と言ってきたので、"はいっ、何年か前に貴方の舞踊団の世界一周公演の練習を、何度もアモール・デ・ディオスのスタジオで見学させていただいたことがあります"と言ったら、嘘か本当かわからないが"あ〜っ、あの時の日本人ギタリストか!!"と、聞きようによっては覚えていてくれたようなお言葉を頂いた。嘘でも嬉しい!(^^)!
しかし、一人で地下鉄に乗って、祐天寺の駅から歩いて来られるなんて、凄い!!
後から聞いた話だが、日本に来るたびに、必ず訪問してくれるということだった。いったい、どんな関係なのだろうか‥‥??

アントニオ・ガデス舞踊団の女性の第一舞踊手のクリスティーナ・オヨスご夫妻とも親密な間柄らしく、後にエル・フラメンコに仕事に来ていた頃、ちょくちょく斎京さん宅のスタジオで練習していたものです。(ギター伴奏は、私が務めさせていただきました(^^ゞ)

その後、斎京ご夫妻には渋谷のジャン・ジャン(ライブハウスの草分け?)や、コンサート・イベントなどで気持ち良くギターを弾かせていただきました。とても感謝、です。
ちなみに、相棒の布施紀子もジャン・ジャンに出演させていただいたこともありました。
ついでに?、札幌でスタジオを開く際の、とても参考になることをたくさん勉強させていただきました。

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2019年07月03日

産声‥‥

 先日"結果的に、私のフラメンコ観を具現化することを第一の目的としてフラメンコスタジオ《アカデミア・デル・ガト》を開設した次第です。"と書いたのだが、当然ながら、生徒を増やして儲けよう‥‥なんていうことは頭に無かった。
わざとらしさの無い、基本に忠実な、そして何より"J-flamenco的"ではないフラメンコを、実は私自身が心の底から楽しみたかっただけ‥‥というのが当たっているかもしれない。

相棒の踊りは妙な自己主張が少なく、とても素直な踊りだった。ブラソや身体の使い方などは、このままでも充分な感じだった。もちろんサパテオやカスタネットなどの技術的にも問題は無かったのだが‥‥唯一、リズム・コンパスの感じ方が‥‥"J-flamenco"だった‥‥(-"-)
ということで、このあたりの矯正プログラムから始めることにした。

かなり頭・身体の深いところまで染みついた悪癖を取り除くには、時間と手間がかかるものです。外科的な手術でもできれば良いのに‥‥なんて思ったこともあった。
毎日毎日数時間、徹底的にリズム・コンパスの矯正と、リズム・コンパスと身体の動き・振りの関係について、何度も何度も繰り返し修正し、その違いごと覚えてもらった。結果、1年近くの時間を費やしてしまった‥‥(^-^;。

そんな日々を送っていた時、相棒が通っていたスタジオの後輩だった人たちが、ひとり‥またひとり、"生徒にしてください<(_ _)>"と来るようになった。
断る理由も無かったので、"では、一緒に練習していきましょう!!"ということになった次第です。
これといった広告・宣伝もしなかったのだが、口コミなのか‥‥徐々に生徒が増えていった。

当初は、ある程度の経験がある人がほとんどだったのだが、やはり"J-flamenco"なリズム感を持っていた人がほとんどのようだった。つまり、"頭乗り"、そして足音だけでリズムを解釈していた‥‥。
身体の使い方も"階段を降りて行く"ような動き‥‥故障の原因にもなってしまうというのに‥‥。
そして、踊りというか振りが"静止画像の連続"のようで、"動画"になっていない‥‥困ったものです。

このままではギターが弾きづらいし、"J-flamenco的ではないフラメンコを心の底から楽しみたい‥‥"という第一の目的が叶えられなくなってしまう‥‥ということで、生徒の皆さんにもリズム・コンパスの感じ方と、それらの表現としての身体の動き、そして踊りの振りを覚え直してもらうことになった。
まずはセビジャーナスとファンダンゴ・デ・ウェルバからレッスンが始まった。
セビジャーナスといっても、ロシエーラスなどもあるので、その違いについても覚えてもらうことにした。
ちなみに、ギターだけでなく、拙い私の唄付き、でした(^^ゞ

レッスンとしては、バー・レッスンで身体の柔軟性、ゆがみの矯正、そして体幹の自覚をしてもらい、その強化を図る。
ブラソの使い方と姿勢の関連性?を、カスタネット付きで練習。そして正しいリズムの感じ方でサパテオの練習‥‥。
そして、バランス感覚と身体の軸を養う意味で、ブェルタ、つまり回る練習をやってもらっていた。
そのうちに、かなりの生徒さんが3〜5回転もできるようになっていった‥‥相棒が焦ったのは言うまでもない‥‥(^-^;
ちなみに、ギター弾きの私も一緒に練習していて、最高5回転まで回れるようになりました(^^ゞ
これらを毎回行ってから、各種の形式の踊りのレッスンに入る、というのがデル・ガトのレッスン内容になっていた。
ちなみに、1回のレッスンの所要時間は90分、これでも足りないくらいだった。

レッスンには必ず私の"真剣な"伴奏を付けていたのだが、なかなかギターのリズムと自分の身体の動きの一体感が得られない人が多かったと記憶している。
"ギターに合わせて動く・踊る"‥ということと、"ギターと一緒に動く・踊る"‥ということの違いが、なかなか実感できないのだろう。
ま、それまではCDやテープなどの録音物の音源で練習していたので、無理からぬことと思います。
"生のギターと一緒になる"‥‥これは、なかなか難しいと言えば難しいのかもしれない。
しかし、ギターに"合わせて"動いている間は、フラメンコとの一体感は‥‥まず、実感できないようです。
結果的に"わざとらしい"そして"演技過剰?"なフラメンコになってしまうのかも知れない‥‥と、感じてしまいました。

かくして、アカデミア・デル・ガトが始動しました。